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絶望系 閉じられた世界

2007年03月10日 10:31

絶望系 閉じられた世界 電撃文庫 (1078) 絶望系 閉じられた世界 電撃文庫 (1078)
谷川 流 (2005/04)
メディアワークス

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涼宮ハルヒシリーズの作者である谷川流の作品。とはいえ、ハルヒとはかなり(相当)異なる作風。ハルヒがSFをベースとした学園コメディなのに対して、『絶望系 閉じられた世界』はグロ・エロ有りの退廃的な雰囲気をかもし出している。


ある日突然建御(たけみ)の自室に天使、悪魔、死神、そして幽霊が居座ってしまった。建御は高校のクラスメイト杵築(きづき)に助けを求め、とりあえず幽霊を成仏させようとする。杵築のコネで調べてみると、彼は路上でバラバラに解体されて殺されていたことが分かる。そしてその事件には杵築の幼馴染、烏衣カミナが関わっていた。


劇っぽい小説だなと思った。登場する場所も人物も限られているし、特に大きなアクションがあるわけでもない。会話と独白だけでほぼ成り立っている。

もうちょっと考えてみると、安部公房の戯曲『友達』と被っている気がした。「友達」はある男の家に、知らない九人家族(祖父父母長男長女次男次女三男末娘)が押しかけてきて居座る話。男の「正論」は家族相手に空回りし、逆に追い詰められていく。

あと同じく安部公房の『棒になった男』という作品にも類似性を見出すことができるかもしれない。人間の死後の世界を知る者が、事務的に人間の死を語っている辺りとか。

(この二つの戯曲は『友達・棒になった男』という文庫本に収録されている)

安部公房の作品になぞらえてみたものの、『絶望系~』の不条理さは私の理解を超えている。そして理解したいとも思わない。天使と死神の議論は意味不明だし、烏衣姉妹の目的もさっぱり解らない。お陰で読後感が気持ち悪い。実験作か、と漠然とした感想を抱くのみである。

それと読み終わってから「絶望系」の「系」は「ダウナー系」「アキバ系」とかの「系」じゃなくって、「太陽系」「生態系」などのシステムとしての「系」なんだろうな、と思った。とすると「閉じられた世界」というのは物理でいう所の「閉じた系(closed system)」か。ああ、だから彼らは「装置」なのかな。


じっくり読み込むと、同じ狂気にとらわれてしまいそうで怖い。普通にはお薦めできない本だと思う。


谷川流の他の作品:涼宮ハルヒの憂鬱
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コメント

  1. ていこ | URL | -

    なんとなく、安部公房の不条理って「我々の住んでいる世界も、別の視点から眺めるとこんなに異質」というような不条理を描き出すところがあると思うんだけど。

    ラノベって大抵は、我々の世界と少し類似性はあるものの、根本的に全然違うロジックで動いてる世界の物語だよね(ハルヒもそう)。で、そのロジックの内容と提示の仕方で、読者の快不快がコントロールできて。
    我々の世界と繋がっていない、独自のロジックを持った「閉じられた」世界、でそのロジックが我々の基準から見ても、その世界内部の人間の基準から見ても「絶望」に彩られたもの。っていうふうに私は捉えました。
    ハルヒは「幸福系 閉じられた世界」なのかもしれない。

    あと、ラノベ読んだけど受け入れられない、な人はストーリーの裏にある世界のロジックを認識できないか、あるいはその異質さ自体に不気味さを覚える人なのかな、とか思ったりします。まあ、単にラノベに特有の記号に嫌悪感を抱くタイプの人も多いんだろうけどさ。

  2. みね尾 | URL | NJl7JW7A

    ふむふむ。
    >ハルヒは「幸福系 閉じられた世界」
    言い得て妙だね。
    ということはベクトルの方向性が違うだけでカミナもハルヒも、出発点は同じなのかな。そんでもって似たようなものを世界に求めているのだろうか。

    そういう意味じゃカミナはまだ解る範囲内にいるんだけど、妹のミワのほうは全然だ。最後のオチで、お前は何者だ、と思った。

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