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タイム・リープ あしたはきのう

2007年02月20日 18:33

SFには色々なモノがある。タイムトラベルモノとか、宇宙人(ファーストコンタクト)モノとか、未来モノとか、ロボットモノとか、そういう風に大きく分類することができる。

この中では、タイムトラベルモノはなかなか地味っぽい(私の偏見)。タイムトラベルに限っては、大抵の場合収まるところに収まるだろうというのが見えちゃうからかな。もちろん、その型を破ったタイムトラベルモノもあるけど。

例えばブラッドベリの『雷のような音』。最初読んだときはバタフライ効果スゲーと思ったけど、よくよく考えると歴史はそこまで変革されていない。むしろズレがピンポイントで現代に現れてたのが奇妙といえば奇妙。いやでもまったく違う世界に投げ出されるより、その微妙にずれた世界のほうが怖いのか。

あと誰のなんて言う作品だったか忘れたけど、どんどんどんどん時間を遡って、宇宙の始まり近くまで来て、収縮された時空の一点に意識を集中させたら…。っていうとんでもないSF短編もあったな。三色の何か(素粒子?)を使って三回まで過去を変えるチャンスがあるっていう設定。詳細が思い出せないので情報求む。[2007/2/24 19:58追記 ルーディ・ラッカー『時空の支配者』コメント欄参照]

短編だと奇想天外なアイディアで意表をついたオチが楽しいが、長編はそうもいかない。どちらかというと、タイムパラドックスのつじつまあわせとか、物理法則に矛盾しない説明とか、そういうのが綺麗に纏め上げられているかどうか、がポイントになってくるような気がする。


高畑京一郎の『タイム・リープ―あしたはきのう』は、一週間の中を意識だけが行ったり来たりして時間を跳び越えてしまう女子高生のストーリー。混乱から始まって最後に収まるところに収まっていく過程にワクワクさせられる小説だ。

タイム・リープ―あしたはきのう (上) / 高畑 京一郎
タイム・リープ―あしたはきのう (下) / 高畑 京一郎

月曜日だと思って学校に行ったら、火曜日の時間割りだった。なぜ月曜日の記憶がないのだろう。記憶喪失にでもなったのか、それとも自分の中に違う自分がいるのか。不安なまま帰宅した翔香は月曜日の日記に、自分の筆跡で書かれたメッセージを見つける。クラスメイトの若松和彦に相談しろ、と。

水曜日、翔香は和彦に自分の身に降りかかった出来事を話すが、肝心の和彦は何も知らなかったし相手にもしてくれない。しかし翔香がその後何回か時を跳び越え、その証拠に未来を予言して見せると、この現象の解明に和彦は協力してくれるようになる。はたして何が原因で翔香はタイム・リープするようになってしまったのか。翔香は普通に時を過ごせるようになるのだろうか…。


翔香が行うタイム・リープは、精神だけの時間移動である。つまり、翔香の身体は途切れることなく時間の流れ沿って存在しているのに、翔香の意識だけがぽんぽん跳んでいるのだ。危機を感じると安全な時間を求めて跳び、自分が無事だったことが分かると元の時間に戻ってくる。そういうメカニズムらしい。

跳んだときにできる時間の空白が、後でその時間に戻ってくることによってパズルのピースがはまるように、ぴったり埋まっていくさまが快感である。最初のピースと最後のピースが繋がって完成した図は、きちんと枠に収まっていて見事としかいいようがない。

和彦がかっこよくて、頭が良くて、運動も出来る、けれど女を寄せ付けない雰囲気を纏う反則的なキャラだったり、その和彦と翔香があれやこれやあってなーんかいい感じになってしまうあたりがいかにもライトノベルだけどね。


ちなみに『あとがきがわりに』と題された文章には、さらに未来の和彦が登場する。最後に編集者のツッコミが入っているので、高畑京一郎のおふざけかと思いきや、もとネタはデビュー作である『クリス・クロス』らしい。これはいずれ読んでみたい。

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コメント

  1. ユキノ | URL | -

    はじめまして

    家と会社からいつもロムってました。猫とSF好きです。

    タイムトラベル小説だったので、つい出てきてしまいました(^_^)
    「タイム・リープ」は時間の流れがややこしいけど。読みやすくって好きな作品です。
    クリス・クロスも良かったです。

    高畑さんは今より初期の作品の方が好きな作家さんです。

  2. ていこ | URL | -

    無粋ではあると重々承知しつつもいつも感じるのは、SFというジャンルの不思議なところの一つって、こういった精神と肉体の二元論を普通に許容できるところだということ。
    普通に考えたら真っ向から科学に喧嘩売ってるとしか思えないのに・・・

    脳の構成は精神(というか実際には記憶)と全く関係ないのか、あるいは脳の化学的構成だけ時間的移動を行っているのか。とか、作中の世界・科学観について悩んでしまいます。

    そもそもタイムトラベル自体、分析しようとすると何が起きてるのかよくわからなくなるものだし、しかたないのかもしれないけど。

  3. ねお | URL | NJl7JW7A

    >ユキノさん
    はじめまして。
    今回の「タイム・リープ」が初めて読んだ高畑京一郎の作品だったのですが、読みやすさとしっかりとした構成に惹かれました。これから機会があれば他の作品も読んでみたいなと思ってます。
    確かに「タイム・リープ」は時間軸があちこちに飛んでしまうのでややこしいですよね。和彦のように翔香のタイムスケジュールをメモしながら読めばいいのかもしれませんけど(笑。
    私の自己満足要素の強い不定期ブログですが、これからもお付き合いいただければ光栄です。

    >ていこ
    またなにか小難しいことを(笑。
    SFはScience Fictionの略だけど、実際には現代科学とはあまり相容れないよね。ある程度許容された非科学的な設定の上に、いかに科学的な世界を構築するか、っていうのがSFのSの部分じゃないのかな。もちろんこれに沿わないSFもごまんとあるけどさ。そもそもSFの定義自体議論の余地があるからね。
    「タイム・リープ」の作品中には、精神だけのタイム・リープの詳しい説明はない。だからこの作品の中で精神と肉体が分離可能なものとしてとらえられているのか否かは分からない。
    個人的には小林泰三の「酔歩する男」のアイディアが気に入っているので、これを「タイム・リープ」の世界に当てはめてみたらどうだろう。つまり、脳には時間の方向性を感じ取って組み立てる機能があり、その機能が不調をきたすと、意識が別の時間に跳んでしまうってやつ。

  4. ていこ | URL | -

    「酔歩する男」は好きだったな。懐かしい。
    でも、あれも「ある人間が記憶するあらゆることが、脳あるいは別の媒体に、時間軸のあらゆる点において完璧に記録されている」と仮定しないと成り立たないんだよね。
    そうでないと世界の時間軸において未来となる時間の記憶を男が持っているのがおかしくなってしまうから。
    そう考えると、その脳の機能は「世界の時間軸における自己の位置を感知し、その情報を元に『記憶』データベースへのアクセスを制御する機能」となるわけだけど。たしかにSF設定としてそれもありかな。

  5. ねお | URL | NJl7JW7A

    脳が記憶データベースへのアクセスを制御して、個人の記憶を埋めていくっていうのは面白いね。これならタイムトラベラーの主観的な時間にダブりがあるのも許されるかも。個人の脳に取り込まれた情報は上書きされないけれど、データベースのほうは変化に対して常に更新されている、とか。
    時間の流れの中を一定速度で一方通行しかできない私たちにとっては、逆走したりジャンプしたりするヤツラがどうなっちゃうのかなんて分かるわけないけどね。

  6. たんとん | URL | 8wbC6KiY

    時空の支配者

    はじめまして、星虫のアニメ化の噂で検索して、たまたま立ち寄りました。
    『三色の何かを使って三回まで』って言うなら『時空の支配者』(著ルディー・ラッカー)かもしれません。が、過去を変えるんじゃ無くて、物理法則を自由に操れる=時間制限付きの神に成れる話しだったと思います。
    『三色の何か』はグルーオンで、保持出来る物じゃ無いだろうとか、そこそこ突込みが・・・w
    でも、長篇ですし、違うかもしれませんね。違うとしても、お勧めの逸品です。

  7. ねお | URL | NJl7JW7A

    たんとんさん、はじめまして。
    情報をお寄せくださってありがとうございます。私が読んだのはそれっぽい気がします。なにぶんにも記憶があやふやだったので検索しようにもキーワードが思いつかず困ってました(笑。なるほど、グルーオンでしたか。そして短編じゃなくって長編でしたか。機会があれば読み直します。

    このブログでは星虫アニメ化の話を扱ってなくてごめんなさい。でもあれって2003年ぐらいにアニメ化決定って言われて以来、なんの続報も無いんじゃ・・・。

  8. たんとん | URL | 8wbC6KiY

    どんも~。いあ、星虫はお気になさらずに。
    ロケットガールとMOONLIGHT MILEが一気にアニメ化されたんで、後は星虫、第六大陸、星のパイロットかなっと思い立ち調べてただけです。(汗←ロケットガールも良作だけど、ロケットガールより良作だと思う3つ。
    そういえば、星虫続編の鵺姫真話などはタイムトラベルモノでしたね(っと無理矢理繋げるw)

    「タイム・リープ」は、ていこさんみたいな突っ込みを私もしましたがwパズルが嵌って行く快感みたいのは随一だと思いました。

  9. ねお | URL | NJl7JW7A

    そういえばロケットガールは先週放映始まりましたね。残念ながら私は見れてないのですけど。さらに言うと原作は積読状態です(苦笑。旧版は95-99年に出版されていたってことに少し驚きました。これを機にそろそろ手をつけようかな。
    星虫アニメ化されるとしたらどういう感じになるんでしょうかね。気になります。
    星のパイロットは知らなかったので今度チェックしてみますー。

  10. MKH | URL | Cu.WJ1Ao

    くりす・くろすの

    人かぁ~ 読んでみたいかも。
    確か体感型RPGゲーム機のテストに放り込まれてーな話だったよ・・・ね。
    結構好きだったなー。思い出したら読み返したくなってきたw。

    今度是非くださいor貸してください(’’

  11. みね尾 | URL | NJl7JW7A

    ほう。ますますクリス・クロスに興味がわいてきた。
    タイム・リープは今度渡すねー。

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