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サマー/タイム/トラベラー

2006年10月20日 07:27

なんかハルヒ関連の話題が続いてしまったので、ちょっと違うものを。


サマー/タイム/トラベラーを読んだ。
SFが読みたい2006年版でベストSF国内篇5位。
第37回星雲賞受賞。


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ざっとあらすじを書こうと思ったけど、難しいな。
ストーリーをどうのこうのって追っていくより、主人公たちが経験した夏の空気を感じることが主体となっている作品だからかもしれない。とりあえず、一巻の裏表紙より。

あの奇妙な夏、未来に見放されたぼくらの町・辺里で、幼馴染みの悠有は初めて時空を跳んだ―たった3秒だけ未来へ。<お山>のお嬢様学校に幽閉された響子の号令一下、コージンと涼とぼく、そして悠有の高校生5人組は、「時空間跳躍少女開発プロジェクト」を開始した。無数の時間SFを分析し、県道での跳躍実験に夢中になったあの夏―けれど、それが悠有と過ごす最後の夏になろうとは、ぼくには知るよしもなかった。

一巻を読んだとき、これは好みが分かれる小説だな、と思った。作品中に言及されるタイムトラベルもののSFは、知っている人から見れば思わずニヤリとしてしまう楽しさがある。でもSFをあんまり知らないって人にとっては、内輪じみた内容に疎外感を覚えるんじゃないかな。かといって全体としてはハードなSFではなくて、どっちかといえば青春小説としての比重が高い感じ。おまけに舞台背景がやけに新しい。というのも最近は『たそがれに還る』や『トレジャーハンターシリーズ』とか結構古い小説を読んでいたので、アフガンでの戦争だとか、9・11のテロ事件だとか、ソニンの「カレーライスの女」だとか、「茄子 アンダルシアの夏」とかの話題が出てくるのが新鮮だった。



私の最初の感想は、「こんな高校生は嫌だ!」

自称も他称も「頭がいい」
実際IQが高い。
年間150冊ぐらい本を読んでいると豪語。
漫画や雑誌じゃない本を読まない人を見下している。
いきなり「ナッシュ均衡」とか「遺伝子工学の未来と、親を選ぶ権利の発生」とかについて語りだす。
妙に冷めているというか、冷めていると見せかけようとしているというか。
自分達には未来がない、と冷笑する。
自分は何も信じていない、と訴える。
サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』を読んで
「このホールデンってキャラ、なんだかとっても莫迦に思えてしょうがないのよ」
響子によれば大半の人間は莫迦か鈍感になる。という経験則をさっ引いても、彼女の主張にはそれなりに説得力があった。
「度胸がないし、映画が好きなんだか嫌いなんだか分からないし、何でもかんでもit depressed me かit killed meって、読書家っていうわりには文章が下手で語彙が少ないし。(略)」
とのたまく。まあ、同意するけどね。

ちなみにバカを莫迦って書く作家を久しぶりに見た。
でも新井素子が使う莫迦のように優しさが込められていないなぁ。


そんなわけで読む人を選ぶ作品。
私はその閾値の間をふらふらしてる。

語り手である主人公に感情移入も共感もできない。むしろやっかみとか反感とか敵対心とか覚えてしまう。おまけに気を引こうとしてわざと時系列を無視する語り方にどうも好感が持てない。

それでも意外と後味が悪くないのは、エピローグで話がきれいに落ち着いたからだろうか。読んでよかった、とさえ思える。読中と読後のこのギャップに戸惑うな。


一巻も二巻も表紙のイラストがステキ。
やっぱ、夏、タイムトラベル、ときたら猫だろう。しっかりポイントを抑えてある。
この猫の名前も主人公が勝手にピートとか呼ぶのでニヤリ。

長門さんの100冊がひと段落着いたら、サマー/タイム/トラベラーに出てきたSFを読んでみようかな。



蛇足を承知で一言言わせてもらえれば高等部一年マリア組ってそりゃないだろ。いくらキリスト教系の女子校にしても。他の組の名称が気になる。ヨゼフ組とかなのか?ありえねー。これだったらバラ組ユリ組(もしくは松組藤組とか)のほうがはるかにマシだ。
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コメント

  1. あ。 | URL | -

    妙に冷めているというか、冷めていると見せかけようとしているというか。
    自分達には未来がない、と冷笑する。
    自分は何も信じていない、と訴える。


    確かにそれだけなら、腹の立つがきですが、タクトはそんな自分たちも虚しさを自覚しつつあり、物語を紡いでいる「現在」には完全に自覚しています。そのあたり、僕は好感が持てたのですが……

  2. みね尾 | URL | Ah.TEqcU

    少々ネタバレになりますが。

    未来では大人も子供っぽい文章を書く、っていう説が、伏線になっているとは思ってもいませんでした。私は最後まで騙されて読んでいたわけです。

    一巻でムカつくガキだと思いつつ読んでいて、二巻の最後でその考えがひっくり返りました。流石に好感とまでは言えないけど、腹は立たなくなりました。むしろ、なぜか清々しい。この感じ方の落差が不思議でたまりません。

    あ。さんが仰るとおり「現在」では彼らがきちんと自覚しているから、許せたのかもしれませんね。

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