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アラビアの夜の種族

2010年12月08日 00:57

アラビアの夜の種族〈1〉 (角川文庫)アラビアの夜の種族〈1〉 (角川文庫)
(2006/07)
古川 日出男

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アラビアの夜の種族〈2〉 (角川文庫)アラビアの夜の種族〈2〉 (角川文庫)
(2006/07)
古川 日出男

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アラビアの夜の種族〈3〉 (角川文庫)アラビアの夜の種族〈3〉 (角川文庫)
(2006/07)
古川 日出男

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はじめに明記するけれども、これは僕のオリジナルではない。The Arabian Nightbreedsの英訳(無署名、発行所不明)を底本にして、出来る限り粉飾的な日本語化を意図した。おおかたの日本人がイスラームの世界になじみが薄いであろう現実に配慮して、しばしば訳注を挿入したけれども、それが逆効果となって口やかましいと感じられなければいいなと思う。ーー以下略


ナポレオン率いるフランス軍による侵攻が目前に迫ってきているエジプト。フランス軍が持つ近代兵器の脅威を知り、国の命運を案ずるイスマーイール・ベイ(知事)に、執事アイユーブはとある術計を持ちかける。アイユーブが秘密裏に追い求めていた稀書『災厄の書』を敵軍の総大将ナポレオンに献上し、その本の魔力によってフランス軍を破滅させるというものだ。ほかに打つ手を持たない イスマーイール ・ベイは信頼するアユーブにすがるしかなく、その計画を彼に一任する。

カイロの片隅の屋敷で、アイユーブが招いた夜の種族は毎晩譚り、それは書生とその弟子の手によって書にしたためられる。読むものを狂気に誘う呪われた本として。

語り部ズームルッドによって毎晩少しずつ紡がれる、1000年前の醜い稀代の妖術師アーダム、最強の魔力を求めるアルビノのファラー、盗賊として育った王子サフィアーンの物語。交わることがないように思えた三人の運命はやがて絡み合い、聞き手はどこまでも物語に引き込まれていく。


ベイ達の陰謀が渦巻く現実世界(エジプト)と、語り部の物語の二重構造を持つこの『アラビアの夜の種族』の日本語訳を手がけたのは古川日出男である。訳者あとがきにて、アラビア半島の本屋にて英語版の『アラビアの夜の種族』に出会い、自分が訳するしかないと思った経緯が書き連ねてある。また、作者不明の原本の歴史的背景と、それがいかに補筆と改訂を重ねられ各国で翻訳されてきたかという経緯が興味深く書かれている。そして物語を拡散させていく意味も。是非最後まで読んでみてほしい。



!!!!!!!!!!!!!!! 以下ネタバレ !!!!!!!!!!!!!!!!!
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昭和歌謡大全集

2007年07月18日 17:30

昭和歌謡大全集 昭和歌謡大全集
村上 龍 (1997/01)
集英社

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またまたタイトルからは内容が想像つかない小説。というか小説だということにすら気がつかない可能性がある。作者は村上龍。1994年刊行。

裏表紙のあらすじ。
孤独なコンピュータおたくの6人グループのひとり、スギオカは、刃渡り20センチの山岳兵用ナイフをジーンズのベルトにさし、白昼の街に。尻を突き出して歩くおばさんの喉にナイフを押し、水平にひいた。ミドリ会という名のおばさんグループのひとり、ヤナギモトミドリが死んだ。ふたつのグループの殺しの報復合戦を、「恋の季節」「星の流れに」「チャンチキおけさ」等々昭和の名曲をバックに描く。

私は昭和の終わりのほうの生まれなので、物心がついたのは平成に入ってからだった。だから、作中に出てくる「恋の季節」「星の流れに」「チャンチキおけさ」「有楽町で逢いましょう」「港が見える丘」「錆びたナイフ」「アカシアの雨がやむとき」「骨まで愛して」「いつでも夢を」「また逢う日まで」という昭和の名曲の数々を私は知らなかった。とりあえず雰囲気を掴むためにyou tubeでいくつか探して聞いてみた。

チャンチキおけさ
http://youtube.com/watch?v=ijAn1ylxbK8

有楽町で逢いましょう
http://youtube.com/watch?v=WFUYA6COHus

アカシアの雨がやむとき
http://youtube.com/watch?v=DA93fRDHbVs

さすがyou tube。便利な世の中になったものだね。三曲続けざまに聞いて、気分はどっぷり哀愁漂う昭和時代。そんでもってやっぱり昭和は私にとってプチ異世界なんだなと再認識。昭和生まれと一口で言っても、世代の差は大きい。

さて、そんな昭和の名曲が背景に流れる中で繰り広げられるのは、いささか不快かつお馬鹿な復讐劇。どうしようもない若者達が、これまたどうしようもないおばさん達と殺し合う。報復の手段がエスカレートしていくさまは、馬鹿馬鹿しいとしか言いようがない。こういう馬鹿らしさは嫌いではないけどね。

やや卑猥な表現やグロめの描写があるので、苦手な人はご注意を。

長門有希の100冊のセレクション基準に関する謎がまたひとつ深まってしまったな。

絶望系 閉じられた世界

2007年03月10日 10:31

絶望系 閉じられた世界 電撃文庫 (1078) 絶望系 閉じられた世界 電撃文庫 (1078)
谷川 流 (2005/04)
メディアワークス

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涼宮ハルヒシリーズの作者である谷川流の作品。とはいえ、ハルヒとはかなり(相当)異なる作風。ハルヒがSFをベースとした学園コメディなのに対して、『絶望系 閉じられた世界』はグロ・エロ有りの退廃的な雰囲気をかもし出している。


ある日突然建御(たけみ)の自室に天使、悪魔、死神、そして幽霊が居座ってしまった。建御は高校のクラスメイト杵築(きづき)に助けを求め、とりあえず幽霊を成仏させようとする。杵築のコネで調べてみると、彼は路上でバラバラに解体されて殺されていたことが分かる。そしてその事件には杵築の幼馴染、烏衣カミナが関わっていた。


劇っぽい小説だなと思った。登場する場所も人物も限られているし、特に大きなアクションがあるわけでもない。会話と独白だけでほぼ成り立っている。

もうちょっと考えてみると、安部公房の戯曲『友達』と被っている気がした。「友達」はある男の家に、知らない九人家族(祖父父母長男長女次男次女三男末娘)が押しかけてきて居座る話。男の「正論」は家族相手に空回りし、逆に追い詰められていく。

あと同じく安部公房の『棒になった男』という作品にも類似性を見出すことができるかもしれない。人間の死後の世界を知る者が、事務的に人間の死を語っている辺りとか。

(この二つの戯曲は『友達・棒になった男』という文庫本に収録されている)

安部公房の作品になぞらえてみたものの、『絶望系~』の不条理さは私の理解を超えている。そして理解したいとも思わない。天使と死神の議論は意味不明だし、烏衣姉妹の目的もさっぱり解らない。お陰で読後感が気持ち悪い。実験作か、と漠然とした感想を抱くのみである。

それと読み終わってから「絶望系」の「系」は「ダウナー系」「アキバ系」とかの「系」じゃなくって、「太陽系」「生態系」などのシステムとしての「系」なんだろうな、と思った。とすると「閉じられた世界」というのは物理でいう所の「閉じた系(closed system)」か。ああ、だから彼らは「装置」なのかな。


じっくり読み込むと、同じ狂気にとらわれてしまいそうで怖い。普通にはお薦めできない本だと思う。


谷川流の他の作品:涼宮ハルヒの憂鬱

だらだらとラノベを読んだ日々

2007年03月02日 01:59

先週ぐらいからやる気がなくて、自室に引き篭もってネット見たり、溜めてた本を読んでたりしてた。気がつけばラノベを結構消化していた。てか、二月に読んだ本を数えてみたら28冊だった(マンガは含めない)。あぁ卒論とか試験勉強とかが・・・。こんなんで私は大丈夫なんだろうか。危機感が足りない気がする。あーうー。


さて気を取り直して読んだラノベをざっと紹介。
最近の作品じゃなかったりして、何をいまさらって思うけど。


狼と香辛料 IIIIII
行商人ロレンツが出会ったのは、狼の耳としっぽを持つ少女だった。ちょっと不思議な関係の二人旅の途中で、商売とか経済とかの問題がメインとなる一風変わった作品。
★★★


9S III
地下に閉じ込められ拘束具をつけられた天才科学者の娘、という設定が異質で惹かれる。SF風だが、この作品に出てくる「遺産」と呼ばれる技術は、我々の科学の延長線上にはない。深くは考えず勢いに身を任せて読む感じ。
★★★★


電波的な彼女 ~愚か者の選択 ~
個性的という言葉では片付けられないくらいのキャラが良い。特に雨の友人二人。しかしえぐり魔事件はやるせない。このやり場のない怒りはどうすりゃいい? 己の無力さに打ちのめされるので、鬱。
★★★


乃木坂春香の秘密
正直受け付けない。語り手の一人突っ込みが空回りしているっていうかやる気が感じられない。語り手として役者不足。設定があざといだけ。乃木坂春香のお嬢様キャラに苛立ちすら覚える。



ネクラ少女は黒魔法で恋をする
「呪うぞ」の決め台詞が秀逸。それ以外は背中がかゆくなるような学園ラブコメディ。
★★


ホーンテッド!1
戯言系。前情報なしで読んだので一巻には騙された。設定がばかばかしい割にたまに重い。エヴァとか結構濃い目のネタが混じっている。
★★★★


しずるさんと偏屈な死者たちしずるさんと底無し密室たち
安楽椅子探偵ならぬ病室探偵。にしても、頭がいいから事件を解決できるっていうレベルを超越している気がする。しずるさんが謎を解く割にはなんとなく読了後にすっきりしないというか、もやもやが残るというか。
★★


★印は私の独断と偏見による相対的な評価。



その他ねこのめ三部作とかロケットガール三部作とか読み終わったけど、これらはまた独立した感想を書く予定。

赤と黒

2007年01月27日 18:48

赤と黒〈上〉 / スタンダール
赤と黒〈下〉 / スタンダール

例によって例のごとく長門さんの100冊の中の一冊。
SFとミステリが目立つリストの中、珍しく純文学。

製材小屋の息子として生まれたジュリヤンは、ナポレオンを崇拝する気持ちとと出世への野望を胸に秘めた若者だった。聖職者を志すジュリヤンはラテン語に秀でていたため、町長レナールの家で家庭教師として働くことになった。

・・・あらすじめんどくさい。

要するにジュリヤンとレナール夫人との間にあれやこれやがあって、家にいられなくなったジュリヤンは神学校に入り、校長のつてでパリの公爵の秘書になる。ジュリヤンは有能っぷりを次第に開花させていくが、公爵の令嬢とやっぱりあれやこれやがあってついには結婚してしまう。ところがどっこいレナール夫人からの手紙が全てをぶち壊してしまい、あと一歩で成功への道を逃したジュリヤンは復讐のためレナール夫人を殺そうとする。

とまあこんな感じ。人妻・できちゃった婚・破滅・復讐ってどんな昼ドラだよ。

本当はジュリヤンが垣間見るフランスの実態や革命前夜の緊張感とかにも注目すべきなんだろうけど、私歴史苦手だし・・・。


意外と苦にせず読めた。でもあらすじ書いていて思ったけど、前半部分がタルい。レナール夫人の手を取るためのジュリアンの葛藤が妙に長い。いろいろ冗長気味の部分を削ったら半分ぐらいになるんじゃないだろうか。

それから、主人公とその恋人達の駆け引き、態度がころころ変わりすぎだから。とくに公爵令嬢なんて水星の昼(427℃)と夜(-183℃)かってぐらい温度差(約600℃)が激しいから。ついていけないよ、まったく。


にしても、『赤と黒』のどこらへんが長門さんの琴線に触れたのだろうか。わからないなぁ。


おまけ。
作中で気になった当時のフランスの通貨について調べてみた。
作品の舞台が1830年代なので、レ・ミゼラブルとほぼ同時代だと仮定すると。

1ルイ=20フラン
1エキュ=3フラン
1リーブル=1フラン
1フラン=20スー
1スー=5サンチーム

さらにそれぞれがどのくらいの価値かっていうと。

1ルイ=2万円
1エキュ=3000円
1リーブル=1000円
1フラン=1000円
1スー=50円
1サンチーム=10円

やたらと通貨の単位が多くてややこしいね。
四十歳の司祭が十万フランの給料だという記述があるが、これは大体一億円ってことなのか。すごいなそれは。うらやましいぞ。

参考:2万フランで何を買う?



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