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ロケットガール

2007年03月04日 03:45

軽くて小さい女の子が宇宙飛行士になれば、有人ロケットを打ち上げるコストが大幅に下がる。ひょんなことから宇宙飛行士になってしまった少女たちのSFコメディ。2月21日からWOWOWのノンスクランブル(無料放送)枠でアニメが放映開始された。


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天使は結果オーライ―ロケットガール〈2〉 天使は結果オーライ―ロケットガール〈2〉
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私と月につきあって―ロケットガール〈3〉 私と月につきあって―ロケットガール〈3〉
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高校の夏休み、南国の島国で行方不明になった父を探しに、ゆかりはソロモン諸島を訪れた。ソロモン諸島には日本が出資したロケット基地があり、日本人が多く働いている。ゆかりは基地に向かう途中、そこを逃げ出してきた宇宙飛行士に遭遇。追いかけてきた所長・那須田は、一緒にいたゆかりを見るなりアルバイトをしないかと持ちかけてきた。父の捜索を条件に、承諾したゆかりだったが、なんとそれは宇宙飛行士のアルバイトだった。

ソロモン宇宙協会存亡の鍵となったゆかりは、宇宙飛行士としての過酷な訓練に明け暮れる。人手不足のソロモン宇宙協会は、ゆかりがジャングル単独踏破訓練のさなかで出会った土着民族のシャーマン娘マツリも、サイズがゆかりと同じで健康体だという理由で宇宙飛行士として採用する。

果たして少女達の運命はいかに。



能天気だけど悪霊の存在を信じてるマツリ、人体実験好きな女医さつき、マッドサイエンティストの素子など個性的なキャラが登場し、コミカルでテンポのよいストーリーが展開される。だがその実、科学的な考証に手抜きはなく、また宇宙という一歩間違えれば死が隣り合わせの世界も誤魔化されることなく描かれている。

人類が挑む新たなフロンティア――宇宙。女子高生の活躍が未来を拓くなんて、画期的で華やかで感動的でポジティブで輝かしくて素晴らしいじゃないか。おまけに三巻ではなんと、月にまで行っちゃうというんだからこれはもうロマンでしょう。ドキドキハラハラの連続だけど全巻ハッピーエンドだし、満足度は高い。欲を言えば、17Gにしょっぱなから耐えた女、マツリの活躍がもっと見たかった。素子さんも一巻以外全然出番がなかったな。っていうかゆかりのお父さんの問題は、結局どうなったんだか(笑。




夢だけど、夢じゃない。

科学の力に希望を託し、未知なる世界に心を躍らせ、冷酷な極限環境に恐れを抱き、人類の未来に思いを馳せる。

胸がいっぱいになるなにかが「ロケットガール」には詰まっている。

だから私も、また人類が月に行く日を、夢見ていようと思う。

(と、かっこよくシメてみた)


関連:野尻抱介の作品の感想
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太陽の簒奪者

2006年11月09日 05:43

異星人とのファーストコンタクトを巡る物語は、まさに今日2006年11月9日から始まったのだ。

太陽の簒奪者 太陽の簒奪者
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おなじみ長門有希の100冊のうちの一冊。
「SFが読みたい! 2003年版」国内篇ベスト1。
第34回星雲賞受賞。

作者は『ふわふわの泉』の野尻抱介。


2006年11月9日早朝。水星の太陽面通過を観察していた天文部部長の白石亜紀は、水星から塔のような細長い物体が伸びていることに気がつく。突如現れた水星の異変に世界中の注目が集まる。水星から噴出される物質は、やがて太陽を取り囲む巨大なリングを形成した。そのリングによって太陽光がさえぎられ、地球の気温が下がり農作物が育たなくなった。リングの正体はなんなのか、何者によってなんの目的で作られたものなのか。度重なる調査によって、リングが自己修復機能を持ち、身近なものを侵食する特性がある事がわかった。水星に向けられた探査機は、防衛線を越えることができずに撃ち落とされてしまった。
水星太陽面通過の観察以来、水星とリングに関心を奪われた白石亜紀は、そのまま“リング学”のエリートコースに進む。そしてリングへの有人飛行クルーに選抜される。異星人とのファーストコンタクトの夢を胸に抱いたまま。
しかし実際のところリングへの有人飛行プロジェクトに課せられた課題は、異星人とのファーストコンタクトではなく、リングの破壊である。リングを破壊しない限り、地球に明るい未来は来ない。4人の選抜されたクルーはリングに接近、破壊を試みる。リングの観察によりその役目は、オリオン座の方向から来る異星人のレーザー帆船を減速させることにあるのではないかと推測された。リングの物質に侵食されたクルー一人を失いつつも、白石の思いつきでリングを破壊することができた。
太陽を遮るリングという脅威を取り除いた人類は、次なる脅威に身構える。異星人の大船団は、減速装置を壊されてどのような行動に出るのだろうか。目的地に止まれないまま、行きずりに報復攻撃を仕掛けてはこないだろうか。人類は太陽系に向かいつつある未知の異星人とコンタクトを取ろうと、あらゆるチャンネルを通して呼びかける。だが応答はない。
リング発見から29年後、44光年先の宇宙からやってきた船の姿を捕らえた。減速装置を壊されたことに気がついた宇宙船は、その質量エネルギーを持ってして、自力で太陽系に止まらんとしていた。それを地球側は9隻の宇宙戦艦で迎え撃つ。うち1隻は白石亜紀の指揮するコンタクト船だ。異星人との交渉が成功しなければ、残りの8隻が迎撃する。今まで地球人に無関心を貫いてきた異星人とコンタクトする余地はあるのか。もし交渉が失敗した場合、異星人と対等に戦うことができるのか。人類の存亡を賭けた接触が始まった・・・。




間に合った。何とか11月9日朝6時までに読み終わってこの記事を書き上げた。
せっかくだもの。タイムリーにいきたいじゃない。
先日の記事にも書いたけど、この水星の太陽面通過は実際の現象。
日時も同じ設定。つまり今日だったのだよ。


太陽の簒奪者はハードSF。無駄のない文章は、無機質で硬質な印象を与えるが、それが殺伐しすぎないのは、本編の主人公が女性科学者だからだろうか。とは言うものの、白石亜紀は華やかな女性ではない。無口、無表情でつまらない、「リングと結婚した女」と陰口されるような人物だ。それがかえって私のような人間には共感できる。頑張れ女性科学者!
著者インタビューの中で野尻抱介本人が言っているが「計算したり絵に描いたりしてなるべく具体的に構築してから、新聞記者になった気持ちで文章化してい」るそうだ。どうりでさっぱりしていると思った。クルーの一人マークが侵食され死ぬ時なんか、ハリウッド映画だったら情緒的な音楽で盛り上げていく一番の泣かせる場面になるはずなのに、そんな描写は微塵もなくあっけなく逝ってしまったものな。

少ない限られた情報から未知なる文明や生命体を推測していく過程って言うのは、ファーストコンタクトものハードSFの醍醐味かもしれない。ホーガンの『星を継ぐもの』のように。水星に突然現れた人工物の登場から、コンタクトの取れない異星人との試行錯誤まで、ぐいぐい引き込まれるようにして読んでしまった。
意思の疎通ができない異星人とどう関わるのか、っていうのは結構よくあるSFのテーマだけど、SF作家の描く宇宙人が幾通りもあればその幾通りもの解があるわけで、SF読者としては毎回楽しめるのでなんの問題はないと思う。


全体的にはかなり好き。というか今年読んだSFの中では上位に入る。人間関係が細やかに描写されているわけでも、キャラクターが深く掘り下げられているわけでもないので、そういうのを求める人には向かない本かも知れないけれど。でも冷静な文章の1枚下に、白石亜紀の苦悩とか感情とかがきちんと読み取れる気がする。このキャラクターとの距離感が丁度いい。


そういえば白石亜紀って字面が白亜紀を思い出させる。確か恐竜が隕石で絶滅したのが白亜紀末期じゃなかったっけ。白亜紀+石っていう名前に何か裏がありそうな気がする。・・・結果的に白石亜紀が宇宙人の減速装置を壊したわけだから、そこらへんと関係しているのかも。白石の所為で、異星人は目的地を奪われ、二度と止まれない宇宙旅行を続ける羽目になったかも知れないからな。



---以下ネタバレ含む---

この宇宙人だが、思いのほか地球型生物に似ていてちょっと拍子抜けかな。露猫綾乃さん「太陽の簒奪者」はやさしくない物語か?という雑記に出てくる宇宙人が自分の想像とドンピシャだったのでおかしかった。かわいいじゃん。こいつら。

ラスト、マークが再生されるあたりは「2001年宇宙の旅」(原作)を彷彿とさせるな。スターチャイルドとなったボーマンを思い出す。そういえばドーナッツ型の宇宙船もまた「2001年宇宙の旅」(映画)っぽいな。
---ネタバレ一応ここまで---



太陽の簒奪者はハードカバー版と文庫版があるが、文庫版には谷川流(涼宮ハルヒの原作者)の解説がついているらしい。私が読んだのはハードカバー版だったので解説はついておらず。ぬう。谷川流の解説、読んでみたいよ。

長門さんが太陽の簒奪者を選んだのには、意思疎通できない宇宙人ってあたりがキーっぽい気がする。長門有希自身宇宙人の対人間用インターフェイスであって、それでいて宇宙人の観念・思考を言語化するのに苦労しているみたいだからね。

ふわふわの泉:理系万歳

2004年12月20日 00:00

相変わらずギは馬鹿の一つ覚えで困ったもんだ。(ペットは飼い主に似るというけれど・・・)

さて。久しぶりにSF小説の読書記録兼レビューでも。

ふわふわの泉 ふわふわの泉
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「ふわふわの泉」・・・この本の存在を知ったのは例によって例のごとく「SFが読みたい」で読者が選ぶベストテンにランクインしていたからだ。そのときの紹介文を読んで、ちょっと興味をそそられた。書店に行くたびに、この本がおいてあるかどうか一応確かめたりした。しかし、なぜかなかなか見つからない。そうこうしているうちに発行から三年過ぎていた。

少し話は飛ぶが、今年の夏、「トンデモ本? 違う、SFだ!」という、なんともそそられる題の本を買ってしまった。この本についてはいつかまたもう少し詳しく触れたいが、あの「と学会」会長の山本弘がとんでもないアイディアに満ち溢れたSFを紹介する趣旨の本だ。で、「トンデモ本? 違う、SFだ!」に「ふわふわの泉」について書かれていたのだ。

それまでは「書店で見かけたら買おう」程度に「ふわふわの泉」が読みたかったのに、それが「何が何でも読んでみたい」というレベルまで達してしまった。というわけでこの本を入手するためあらゆる手段を講じる羽目になったのだ。
近所の書店を隅々まで探し、行く先々で書店を巡り、古書を高頻度でチェックし、アマゾンで調べ、大型書店の在庫検索システムを利用し・・・。それでも、発行から三年経ったファミ通文庫という性質の所為かなかなか見つからなかった。本を手にする過程というのは、ほかの本にまぎれている状態から自分の目的の書を発見し確保するのが楽しいのである。だから私の主義に反するのを承知で最後の手段に出た。早い話が書店で注文して在庫を取り寄せてもらったのだ。そうして一週間後「ふわふわの泉」は無事私の所有物となった。

「ふわふわの泉」はひょんなことから空気より軽くダイヤモンドより硬い夢の新素材「ふわふわ」を発明してしまった女子高生のサクセスストーリーである。読んでみての感想は、ほぼ「トンデモ本? 違う、SFだ!」とだいたい同じだった。話の展開についていけないというか、中盤いきなり非現実的なものが脈絡もなく登場してしまったというか、ストーリーとして少し無理があるんじゃないかと思ってしまう。しかし、新素材ふわふわをどのように扱うか、という点はなかなかリアリティあふれ説得力があるように感じた。自由に加工できる「ふわふわ」を世の中の常識にとらわれず利用していくさまは実にわくわくする。まさか高校の化学クラブの実験からはじまる物語が、軌道エレベーターまで発展するとは・・・。ふわふわしているけど、ハードSFなんだろうな、これ。


さらにヒロインが魅力的。ものぐさで色気はないけど頭脳明晰、男言葉でしゃべる科学マニアのメガネっ娘という設定は理系人間のツボを突くものがある。
(トンデモ本? 違う、SFだ!)
に全面同意。


アマゾンには今のところ在庫がないようだ。価格が672円でユーズドが2000円って・・・。そんなに手に入りにくいのか?



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