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蹴りたい田中:世界の中心でアイ~ンと叫んだらのけもの

2005年01月02日 00:00

一月二日である今日は事始めということなので、SF初めといってみようか。

蹴りたい田中 蹴りたい田中
田中 啓文 (2004/06/10)
早川書房

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茶川賞受賞の田中啓文の「蹴りたい田中」。以前紹介した「銀河帝国の弘法も筆の誤り」と同じ作者である。新年早々脱力すること間違いない。タイトルからして去年話題になった本のパクリだもんな。冒頭の作者のコメントでこのタイトルは編集者が勝手につけたと言っている。そして本当は「世界の中心でアイ~ンと叫んだらのけもの」というタイトルにしたかったと。どっちもどっちだと思うのだが。

さて本書に収録されているのは以下である。

未到の明日に向かって
地球最大の決戦―終末怪獣エビラビラ登場
トリフィドの日
トリフィド時代
やまだ道―耶麻霊サキの青春
赤い家
地獄八景獣人戯
怨臭の彼方に
蹴りたい田中
吐仏花ン惑星―永遠の森田健作

「未到の明日に向かって」
作者の対談という形式を取っている・・・が。
どこまでが真実でどこまでがネタなのかの判断ができない。

「地球最大の決戦-週末怪獣エビラビラ登場」
発想は「ΑΩ」と一緒。やっぱりウル○ラマン。
比べてみると面白いかも。

「トリフィドの日」
知性を持ったきのこが世界征服をたくらむ話。
ネタが飽和状態を起こして後半もう何がなんだか・・・。
最後の駄洒落に脱力。

「トリフィド時代」
上の姉妹作らしいが、これは実物を読んだほうが早い。

「やまだ道 耶麻霊サキの青春」
あ。いまこの作品のタイトルをIMEで出そうとしてようやく耶麻霊をなんて読むかわかった。
耶(や)麻(ま)霊(たま)サキ。ガクっ。
山田正紀の作品を読んでみたくなった。

「赤い家」
蚊というゲームのために書かれた作品。
蚊と人間が手を組んで事件を解決していく設定が新鮮。
なんだかんだと楽しんで読めた。

「地獄八景獣人戯」
これまた何がなんだかわからなくなる駄洒落が詰まった話。
ただ「おぬしもアルジャーノン」がやけにつぼにはまってしまった。

「怨臭の彼方に」
不老不死を手に入れる代償とは・・・。
絶対に食事前食事中には読んではいけない。
最後の駄洒落はオスカーワイルドですか。高尚ですな(エッ)。

「蹴りたい田中」
タイトルの元ネタとは何の関係もないと思われる。
大和魂万歳。

「吐仏花ン惑星―永遠の森田健作」
最後に向かううちに駄洒落の応酬になっているが、ラストは衝撃的。
いろいろな意味で。


全体として「銀河帝国の弘法も筆の誤り」よりネタ度と駄洒落度がパワーアップしている印象を受けた。中途半端な知識と理解力じゃ太刀打ちできない。絶対見落としているネタと駄洒落がいっぱいある。やっぱり駄洒落は知的で文化的なんだなと思った(本気かよ)。


この作者の本:田中啓文
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銀河帝国の弘法も筆の誤り:駄洒落SF~あるいは味噌汁とカレーライスについて

2004年07月13日 00:00

銀河帝国の弘法も筆の誤り 銀河帝国の弘法も筆の誤り
田中 啓文 (2001/02)
早川書房

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はっきりいって、これほど読者を馬鹿にするような小説は読んだことがなかった。人がせっかく真剣に読んでいるのに、最後の最後でまじめに読んでいたことを後悔することになるとは。後味すっきりさわやかな読了感なぞ皆無。残るのは、ただただ脱力感と「アホやーー!!」という心の中で叫んだこだま。
と、こんな紹介をしたが、これ、いちおう褒め言葉として受け取ってもらいたい。
この本は星雲賞日本短編部門受賞し、「SFが読みたい!2002年版」で国内ランキング4位に選ばれている。しかし。本気でこんな駄洒落SFが賞を取り、4位に選ばれたのか、と疑いたくなる。が、よくよく考えてみるとくだらない駄洒落と一発ネタを肯定できるほど、SFとして完成しているのかなとも思えてくる…のかな。

さて、この本を面白く(別の言葉で言い換えれば馬鹿馬鹿しく)しているのは、五つの短編のそれぞれに小林泰三や牧野修などの作家が解説をつけているのだ。それも、田中啓文をけなすという趣旨で。そしてそれに田中啓文はいたってまじめ(?)に反論しているのだ。さらに、この本の帯には、「それでも私たちは、この本を推薦できません」という文字があり、有名作家の名がずらりと並んでいる。なかなか手が込んでいるよ。それから、この時代錯誤なエイリアンと美女の表紙も妙に作品になじんでいて面白い。

ちょこっと(結構)下品でもあるが、今まで読んだこともないようなSFという意味では面白かった。でも、これ、人にお薦めするにはちと勇気がいるか。自分の品位を疑われてしまうかもしれないからね。それでもあえて言うが、私は「銀河を駆ける呪詛」が好きだったりする。このオチがたまらない。


この作者の本:田中啓文



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