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涼宮ハルヒについて大いに語る。その四。

2006年11月02日 06:26

さて。四回目になった涼宮ハルヒについて大いに語る。ぶっちゃけ語っているのは長門さんについてであるからして、タイトルを「長門有希について大いに語る」にしておいたほうがよかったかもしれないと思ってみたりみなかったり。そしてあんまり熱っぽく長門さんについて語っていると、変な目で見られたりするのかもと思ってみたり。でももう手遅れなのかな(苦笑。

涼宮ハルヒの消失 涼宮ハルヒの消失
谷川 流 (2004/07)
角川書店

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『涼宮ハルヒの消失』。表紙はなんとあの朝倉涼子。ハルヒ、みくる、長門、と来たわけだから、そろそろキョンか古泉かなと思ってたわけなんだが。朝倉さんだよ、朝倉さん。不敵な笑みを浮かべた委員長。オマケにしっかりナイフを握っていらっしゃいますよ。これはひょっとして、一巻と同じようなスリルショックサスペンス(古っ)を期待できるのでは。ネタバレ82%でお送りするので要注意。


時はクリスマスを一週間に控えた学期末。
「クリスマスイブに予定のある人いる?」とSOS団団員に一応確認したハルヒ。
これはイブに何かを目論んでいる証拠だ。
返事がどっちであろうと強制参加には間違いない。
「有希」
長門はページから顔を上げずに短く答えた。
「ない」
「よね」
このテンポの良い会話がとても心地よい。いや、会話と呼ぶのも躊躇われるほど短いわけだけど。

おなじみのハルヒの大騒ぎに振り回される団員という構図になるのかと思いきや。ものの見事に裏切ってくれる。

翌日学校に登校したキョンは、今いる世界が、キョンが知っている世界とはちょっと違っていることに気がつく。昨日までぴんぴんしていたはずの谷口はずっと風邪でダウンしているというし、教室にはなぜかあの朝倉涼子が普通に溶け込んでいるし、そして何よりハルヒがいなかった。パニックに襲われるキョン。ココはどこだ。ハルヒはどこにいる。

古泉がいたはずの九組は教室すら存在していない。廊下で朝比奈さんを見かけるが、朝比奈さんはキョンのことを知らなかった。藁にもすがる思いで、SOS団の占拠する文芸部室に足を運ぶキョン。長門はいた。だが、掴みかかって話をするキョンにおびえる彼女は、キョンの知っている長門ではありえなかった。

(これが巷でいうところの「消失長門」である。かなり無口、ちょっと無表情系、結構引っ込み思案、極度の照れ屋、かと思いきや意外と積極的な眼鏡っ娘文芸部員。長門かわいいよ長門。)

途方にくれるキョン。だが、その世界にはキョンが望んだ平和があった。一方的突発的なわがままでキョンを振り回すハルヒはいない。未来人も超能力者も宇宙人もいない。習慣で足を運んだ部室で、キョンは以前長門が貸してくれた長編SFを見つける。何気なく手に取ると、栞が、床に落ちた。
『プログラフ起動条件・鍵をそろえよ。最終期限・二日後』
あの長門からのメッセージだった。

鍵がなんなのか想像もつかなかったが、ひょんなことからハルヒが別の高校に進学したという話を聞く。キョンはいてもたってもいられず、ハルヒがいるという高校に直行する。校門に張り付くこと二時間。いた。ハルヒだ。身を包む制服こそ違うものも、忘れもしないハルヒの姿だった。そしてそのとなりには古泉の姿まである。

つっけんどんなハルヒの興味を引くことに成功したキョンは、途中でみくるを強制連行して四人連れ立って部室へと向かう。SOS団が部室に集合した。それが鍵だった。長門のプログラムが実行され、キョンは平安を捨てもとの世界に戻ることを選択した。

気がつくとキョンは三年前の七夕の日にいた。前回三年前に来たときに会った大人版朝比奈さんと合流し、その日二度目になるはずの長門宅訪問を行う。


ここで前回矛盾があるらしいと触れた問題について考えてみよう。
問題は三年前の長門(N)が現在の微細な感情を獲得した長門(N’)に同期をとったことによって、三年前の長門(N)が長門(N’)になってしまったとしたら、そのまま春に部室で邂逅することになるのは長門(N’)ということにはならないか、という点だ。もしこの三年前の時点で長門が現在と同じだけの感情を持ってしまっていたら、キョンは感情の一切無い長門に会わないことになる。そしてこの時間のループを繰り返すと、長門は延々少しずつ感情情報を貯蓄することになってしまいキリがない。

とりあえず『退屈』と『消失』で長門についての文を拾って時系列で並べてみる。(本当はチャートにでもしてもう少しわかりやすいものを作りたかったんだが、そこまでするのもどうかと思って。…気が向いたら作ってみるかな)

三年前七夕
キョンの一回目の訪問-朝比奈さんに連れられて
A) 『退屈』p114
長門は何一つ違っていなかった。ちゃんと北高のセーラー服を着て、無表情に俺を見つめる眼差しや、体温や気配を感じさせない無機質な姿も俺の知っている長門とまったくおなじものだった。ただ、最近の長門になくて、この目の前の長門にあるものがある。俺がこいつと最初に出会ったときにかけていた眼鏡。
いつしか眼鏡っ娘でなくなった長門が以前にかけていた眼鏡が、この長門の顔に引っかかっていた。
B) 『退屈』p117
「異時間同位体の当該メモリへアクセス許可申請。時間連結平面帯の可逆性越境情報をダウンロードした」
何一つとして解らない。
「現時点から三年後の時間平面上に存在する『わたし』と、現時点にいるこの『わたし』は同一人物」
それがどうした。それはそうだろう。だからと言って、三年前の長門が三年後の長門と記憶を共有しているわけはない。
「今はしている」
どうやって?
「同期した」
いや、解らんけど。
それ以上答えず長門はゆっくり眼鏡を外した。無感動な瞳が二つ、俺を見上げて瞬きする。それは確かに見慣れた本好き少女の顔だった。俺の覚えている長門有希だ。
(→時間凍結でもとの時間までもどる E)へ)

キョン二回目の訪問-変革されてしまった世界から
C) 『消失』p184
まさしく長門だ。初対面時期の長門有希。とりつく島が皆無だった春頃の、そして『三年前』に『俺』が頼ったこいつそのままだ。
D) 『消失』p189
「同期不能」
短い音の連なりを発して、じっと俺を見つめる。微妙に顔つきが違って見えたのは多分、俺の錯覚ではないと思う。春以降から夏にかけてのこいつの顔だ。古泉も気付いていた、出会った直後から微小な変化の途上にある長門の表情である。ただし冬までの長門には至っていない。

現在の七夕
時間凍結解除後
E) 『退屈』p122
長門が立っている。さっきと同じ、スイッチに手を掛けた状態で。
その顔に長門らしからぬ、感情めいたものがあるような気がして、俺はマジマジと白い顔を見やった。何かを伝えたいのに葛藤によって何も言えないでいるような、ずっとこいつの無表情に付き合っている奴でないと判別できないだろう微細な感情だ。俺の気のせいでないという保証もないが。
(中略)
戸口で佇む長門はあの長門だった。眼鏡っこ以前以後で分類するなら確実に以後の、ほんの少しだけ硬さが緩んだ長門有希だ。三年前のこいつに出会ってそれが解った。俺がハルヒに連れて行かれて文芸部室で対面した長門より、目の前の長門は確かに変化を遂げている。たぶんだが、本人にも解らないくらいの。

現在の12月
F) 『消失』p19
「変化といえば、涼宮さんだけでなく僕達だって変化しています。あなたも僕も、朝比奈さんもね。たぶん長門さんも。涼宮さんのそばにいれば、誰だって多少なりとも考え方が変わりますよ」
俺はそっぽを向いた。(略)意外に感じたのは長門がちょっとずつ変わりつつあるってことをこいつも気付いているってことだ。インチキ草野球に三年越しの七夕、カマドウマ退治に孤島の殺人劇やループする夏休み……。あれやこれやをわたわたとやっているうちに長門のちょっとした態度やしぐさが、全ての始まりを告げた文芸部室での邂逅から微細に変化しているのは確かだ。錯覚ではない。俺にだって手作り望遠鏡くらいの観察眼はあるんだ。


ちなみにキョンの主観的時間だとABEFCDの順。

同期というものがどのようなものなのか、詳しいことは何も分かっていないが、上記から脳内補足してみる。

二回目の訪問で、C)とD)との間に長門に変化が見られる。よって二回目は現在の冬の長門と同期することは失敗したものの、夏の長門とは同期していると思われる。

一回目の同期のあと眼鏡を外したはずの長門だが、二回目の訪問時にはまた眼鏡ありに戻っていることと、一回目の同期で「今はしている」といっていることから同期は、恒久的ではなく一時的なものと推測される。

つまり同期っていうのは同期しっぱなしになるわけじゃなくて、故意に繋がっている間のみ同じ感情情報を共有しているんじゃないかと思う。もちろん、何が起こったか等の事実関係についてのデータは残るんだろうな。なかなか器用なことをする。

まとめるとこんな感じ↓
一回目、キョンと朝比奈さんを時間凍結するまで夏の長門(N’)と同期していたが、その後その情報を遮断して長門(N)に戻る。そこに再び12月のキョンと朝比奈さん(大)が訪ねてくる。二回目の同期を試行するが、12月の長門(N”)にアクセス拒否され、夏の時点の長門(N’)までしか情報を取得できなかった。そしてキョンと朝比奈さん(大)を送り出したあとまた同期を切って長門(N)に戻り、そのまま三年後の部室での邂逅を迎えるのではないだろうか。
もちろん本編で明らかにされてないだけで、まだまだ三年前の七夕を巻き込んだ事件が起きるのかもしれないが、その可能性はとりあえず無視する。

ってなとこで私的には矛盾は解決した気になったんだけど、どうでしょう。


そういえば引っかかるのは
『消失』p199
「また会おう、長門。しっかり文芸部で待っててくれよ。俺とハルヒが行くまでさ」
命を吹き込んだ雛人形のような動きで、地球人製有機生命体はカクリと首を縦に振った。
「待っている」
その小さな声に俺は胸に奇妙なモヤモヤが発生するのを自覚する。だが消し忘れたタバコの煙のようなモヤの正体が何かを考えるより早く、朝比奈さん(大)が(略)
の部分。
キョンが胸に抱いた奇妙なモヤモヤって結局なんだったんだろう。
長門に対する好意か。ただの文学少女となり平凡に生きることを望んだ長門への感慨か。それともほかのなにか、か。

もう一つ
『消失』p188
長門に対してはいつもおっかなびっくりだった朝比奈さんの習性は、何年後かになっても変わっていないらしい。このときの俺はそう思った。
の「このときの俺は」っていう一文が気にかかる。「このとき」って限定している以上、このあとキョンがどう思い直すのか興味深い。


さて。
思いっきりネタバレの連続後にこういうことを言うのもなんなのだが、ここから先の展開については未読の読者のことを考えてあえて伏せておく。せっかくキョンも12ページにわたって「世界変革の原因」をぼやかしたまま引っぱっているわけだし。けしてこれ以上書くのがめんどくさくなったわけではない。念のため。


全体としてはかなり満足。表紙の期待を裏切られずに済んだし。タイムトラベルのテーマがうまく生きているような気がするし。消失長門は反則的までに可愛いし。消失長門にはおそらく二度と会えないだろうという感慨が彼女の価値をさらに高めているような気がする。

というわけで『涼宮ハルヒの消失』については今のところ以上。
次回はきっと『涼宮ハルヒの暴走』について。

関連:
涼宮ハルヒについて大いに語る。その一。
涼宮ハルヒについて大いに語る。その二。
涼宮ハルヒについて大いに語る。その三。
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