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レキオス

2008年07月13日 14:52

「レキオス」は以前読んだ「シャングリ・ラ」の池上永一の作品。『SFが読みたい』2001年版国内篇第2位だったらしい。にしてもこれまた「シャングリ・ラ」に負けず劣らずぶっ飛んだSFなのである。というか、先ず「レキオス」ありきで、その延長線上に「シャングリ・ラ」が位置するというのが正しいか。そんでもって、SFというより伝奇なんじゃないのかなぁ。まあいいや。

レキオス (角川文庫)レキオス (角川文庫)
(2006/01/25)
池上 永一

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二十世紀末。アメリカ軍基地が置かれている沖縄。アメレジアン(在日米軍の米兵と地元女性との間に生まれた子供)である女子高生デニスを中心に、沖縄が魔術的な陰謀に巻き込まれていく物語。

自らの野望のために転生を繰り返してきた米軍中将キャラダインが、血でぬれた沖縄の地に魔方陣を描いて地霊レキオスの封印をとこうとする。世の破滅を防ぐため、琉球の最高女神である聞得大君の加護を受けたデニスと、キャラダインを裏切ったヤマグチ少尉、そして変態天才女人類学者サマンサが、沖縄から生まれた混沌に打ち向かう。

本筋が見えてこないエピソードが絡まって肥大していき、気がついたら大きな一塊になって怒涛の終焉を迎えるものだから、途中まではストーリーの迷走に追従するのが正直つらかった。それでも荒唐無稽なキャラクターたちの奔放さに急かされるようにして読みきってしまった。

デニスは正確に言うと、アメレジアンの母と黒人米兵の父を持つので沖縄クォーターだ。褐色の肌、夜な夜な悪夢を見て流す血の色をした汗、8.0以上の超人的な視力、パーマとムースでまっすぐに固めた髪、大型バイクを駆る178cmの長身。そして彼女に取り憑いた鼻のない逆さま女。複雑な自分の家庭と沖縄での居場所に悩む少女は、百四十七年前からの運命に翻弄される。

レキオスの研究をするサマンサは、ド変態である。というか破廉恥である。意味不明なコスプレをし、ノーパンで人を驚かせたり、卑猥な言動で人々の顰蹙を買う。でも、超天才である。四つの力を統べる統一理論とレキオスの関係を証明しようとする。いや、レキオスこそが大統一理論の要であると、サマンサは言う。出現時にニュートリノが観察されるペンタグラムは、アインシュタイン方程式とマクスウェル方程式を統合するカルツアの五次元方程式によってモデル化できる云々。以下略。

米兵を引っ掛けて遊ぶことしか能がなかったような女子高生、広美。サマンサに催眠暗示で人格を破壊され、生体コンピューター『ろみひー』として生まれ変わった。なんとテスト運転で62000ヨタFLOPS、一秒間に10の28乗の演算能力を発揮した。驚くべきことに、これは最高速度のたった4%だという。もうむちゃくちゃだ。ヨタっていったいなんの単位なんだよ、と思って調べてみると、キロ<メガ<ギガ<テラ<ペタ<エクサ<ゼタ<ヨタらしい。現在SIで定められている最大の接頭辞だと。

ユタ(シャーマン)のオバァはいい加減な占いをする。ジャンケンのグリコ占いや、インラインスケートによるフィギュア占い。でも占いははずれない。ロシアンルーレットで米兵に勝負を挑み、13連勝してたりする。食えないが、なかなかおちゃめな婆さんである。


これでもかっていうキャラ設定の登場人物たち。あ、でも男性陣はいまいち影が薄い。元凶の魔術師キャラダインですら、サマンサの前では霞んで見える。まあ、変態サマンサに勝てるキャラは、小説にとどまらずアニメや漫画の中でもめったにお目にかかれないのではないだろうか。



「シャングリ・ラ」が気に入った人は、原点である「レキオス」を読んでみてもいいかもしれない。「シャングリ・ラ」を受け付けなかった人は、きっと「レキオス」にも拒否反応を起こすだろう。清純でウブな良い子は「レキオス」を読んではいけない。サマンサに毒されてしまうから。

いささか強烈な毒を受けてしまった私は、さっさとサマンサのイメージを払拭する解毒剤が欲しい…。

さらばサマンサ、永久に!
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シャングリ・ラ

2006年09月21日 00:00

シャングリ・ラ シャングリ・ラ
池上 永一 (2005/09/23)
角川書店

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なんかハチャメチャなSFを読んでしまった。つっこみだしたらキリがないし、ネタバレのオンパレードだから詳しくは書けないけど。いやはや、こんなSFいまだかつて読んだことありませんでしたよ。


物語の舞台は地球温暖化が進行した未来。世界は炭素を中心に回っていた。二酸化炭素を排出する国は炭素税というペナルティーが課せられる。またカーボンナノチューブの生産も重要な位置を占めていた。そして世界経済も炭素によって成り立っていた。
東京は二酸化炭素を削減するため土地の森林化を推し進めて行った。遺伝子改造で生まれた木々は、東京の街を次々に飲み込んでいく。地上の土地を手放した人々は、アトラスと呼ばれる巨大空中人工基盤に移り住む。しかし、全ての人がアトラスに移住できるわけではなかった。アトラスに行けなかった人たちは、スコールと暑さが襲い掛かる地上で生きていくほかなかった、迫りくる森の恐怖に怯えながら。
そんな政府の無理な森林化に反旗を翻したゲリラ組織メタル・エイジ。彼らの本拠地には大きな煙突が立ち並び、火を焚き炭素を出すことを反抗の一環とする。彼らの統領、國子はナイスバディでめちゃくちゃ強いニューハーフのモモコさんに育てられた少女だ。(これだけでもずいぶんぶっ飛んじゃっている設定なのに、これはまだ序の口)國子はアトラスと政府を相手に戦っていくうちに、アトラスがただの人工大地ではないことに気がつく。

ブーメランが、鞭が、メスが、ミサイルが乱れ飛ぶ中、美少女が、ニューハーフが、デブが、女医が、巫女が、女官が、軍人が、人間じゃない何かが戦いの火花を散らしまくる。この戦いの果てに待ち受けているのは・・・。


こんなかんじのストーリーで、私は一体何度ありえねぇと叫んだだろうか。解っているよ、目標にあたったブーメランは手元に戻ってこないなんて野暮なことを考えちゃいけないってことぐらい。きっとこのブーメランは当たったものをサクッと切り裂いて、運動エネルギーを弱めないまま飛び続けるんだろうさ。ちゃんとした物理的な説明なんて求めちゃいないよ。

まあ、なんだかんだ言っても飽きずに読める本ってことに間違いはないと思う。



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