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玩具修理者: ようぐそうとほうとふ

2005年07月16日 00:00

玩具修理者 玩具修理者
小林 泰三 (1999/04)
角川書店

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『玩具修理者』は『ΑΩ』の作者である小林泰三の第二回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。『ΑΩ』にでてくるガの封印されてしまった名前となにか関連性がありそうだったので読んでみた。が、とくに直接的な関係は見出せず。はっきりいってグロい系のホラーなのでSFじゃない。ラヴクラフトを直接連想させる不思議な叫び声もあふれているし。「ようぐそうとほうとふ(ヨグ=ソトーフ)」「くとひゅーるひゅー(クトゥルフ)」「ぬわいえいるれいとほうてぃーぷ(ナイアルラトホテップ)」などなど。私もこういうネタがわかってくるようになってしまったのかと思うと、嬉しいような恐ろしいような。ここはとりあえず以前ラヴクラフトの世界に私を引き込もうとしたT氏にスペシャルサンクス(なんだそれは)。

ただのホラーだったらこのブログで紹介しなかったのだが、同じ文庫に収録されていた『酔歩する男』のほうはれっきとしたSFだった。

これはタイムトラベルもの、と分類してしまってよいのだろうか。時間の流れと、意識のあり方に関するアイディアがとても面白かった。

もし酔歩する男を読みたいと思ったならば、これ以上先は読まないでおくことをすすめる。作品から直接このアイディアに触れてみて欲しい。ネタバレ上等、と思ったら続きをどうぞ。 なにしろ量子物理学の波動関数の概念を応用しているのだ。つまり物事はすべて確率としてしか存在していない。しかしそこに観察者が現れると出来事が確定する。つまりは意識の介入によって現在が決定してゆくというのである。

この現象を波動関数の収束と呼ぶ(らしい。

この有名な例が作中にも出てくる「シュレディンガーの猫」である。
これを簡単に説明・・・したいのだが私の力量不足のためとりあえずwikiの記事を読んでもらいたい。

http://ja.wikipedia.org/wiki/シュレーディンガーの猫



脳の時間の方向性を感知する部位を故意に破壊した小竹田は、眠るたびに未来か過去かの別の日に意識がタイムスリップする。しかし彼が訪れる未来は、毎回変化していた。未来から再びそれ以前の日に戻ることによって、一度は収束した波動関数が発散し、確定していたはずの出来事が再び確率の状態に戻ってしまうのだ。未来を変えようとどんなに努力しても、その日以前に戻されるとその努力はまったくの無駄となる。自殺することすら出来ずに過去へ未来へ幾度となく飛ばされるのみ・・・。


タイムトラベルというのは能力ではなく、能力の欠如によるものだという逆転の発想に唸らされた。
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ΑΩ:リアルウルトラマン

2004年03月26日 00:00

ΑΩ(アルファ・オメガ)―超空想科学怪奇譚 ΑΩ(アルファ・オメガ)―超空想科学怪奇譚
小林 泰三 (2004/03)
角川書店

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『SFが読みたい! 2002年版』で国内二位だった作品。今月文庫になったのでついに購入してみた。

一言で言ってしまえば、スプラッタでグロい。
にごった、どろっとした粘着質の液体が町中にあふれるさまが表現されていて、それらをリアルに思い描くことができる。主人公の体が破壊・崩壊し、再生されていく様も見事だ。

しかし、ただグロいだけでは終わっていなかった。
われわれ人類をはじめとする地球上の生物とはまったくかけ離れたタイプの宇宙人が非常に細かく描かれている。
この宇宙人は、プラズマと磁気から構成されているらしい。そして自己はデータの集まりであり、データを違う個体と共有することができる(この描写は宇宙人のデータ交換にすぎないのに、なぜかエロい)。とにかく、いままで思いつきもしなかったような宇宙人が描かれ、それがまたリアルなのだ。

ΑΩはあらゆるSFテーマを扱っている。宇宙人とのファーストコンタクト、宇宙人による侵略、超人に変身し悪と戦う主人公、新興宗教によるアルマゲドンと人類滅亡の危機、新人類の誕生・・・。こんなにぎっしり詰まっているのにもかかわらず、ぐいぐいと引き込まれてあっという間に読み終わってしまった。

ちなみに、このSFはウルトラマンを彷彿させる。
私は、ウルトラマン世代ではないので、詳しいことはわからないのだが、このSFの主人公の名は「諸星隼人」という。諸星といったら・・・たしかウルトラマン・セブンだ。
それから、ジャンプするときの掛け声は「シュワッ」。
主人公が変身した姿は白銀の巨人。

ただ、ひとつ。
ネタばれになるかもしれないが、宇宙人の故郷が木星だというのが腑に落ちない。
ΑΩによるとどうやらわれわれの太陽系には少なくとも四種類の種族が住んでいるようだ。
これは、ちょっと多すぎやしないか。
べつに隣の銀河から来たってよいと思ったのだが・・・。


痛い描写やグロテスクな描写が苦手でなければ面白く読めるはずである。



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