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ほうかごのロケッティア

2012年05月20日 20:39

女の子の願いを叶えるため冴えない高校生達がロケットを自作し、衛星軌道に乗せるために奮闘する。と書くとド直球な青春物語に聞こえるが、そんなにむず痒くはない。電波・オタク・中二病ネタ満載で古傷が疼いて痛くはなるかも。

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東京都から南下したところにある太平洋の孤島、イトカ島。そこの私立イトカ島学園高等学校には、日本全国から落ちこぼれやワケありの生徒が集ってくる。古い人間関係を捨て、新しいスクールライフを送るために。

電波なオタクだった褐葉貴人は、そんな過去を封印し、今はクラスのお調子者としての居場所を確保していた。表向き平穏な日々を過ごす彼の前に、美少女転校生久遠かぐやが現れる。実はかぐやは、以前褐葉が心酔し、中二病な手紙をひたすら送りつけていた覆面アイドル歌手だったのだ。おまけにアイドルから転落した彼女は「地球から脱出できなくなった宇宙人をロケットで送り帰してあげたい」という電波な使命に燃えるようになっていた。過去をばらすと脅され、褐葉はかぐやに協力する羽目になる。となり町の都立イトカ実業高等学校のロケット部(部員三人)と島工場の頑固職人爺さんを仲間に引き込み、褐葉たちは本物のロケット作りに没頭する。

最初はロケット花火に毛が生えた程度のものだったが、試作と改良を繰り返し、どんどん高く遠くにその記録を伸ばしてゆく。困難と挫折と法律を乗り越え、彼らはロケットを宇宙に届かせることができるのか…。


元電波男と現役電波女のボーイ・ミーツ・ガール物語。非リア充というか落ちこぼれた若者たちの再生。宇宙に挑み続けるロマン、ロケットにかける青春。ロケット打ち上げのクライマックスは胸にこみ上げてくるものがあったし、エピローグも良い後日談(そして数年後)だった。ロケットを飛ばす、ということがただの青春物語のための手段に終わっておらず、むしろロケットがこそが主役なのだ。市場飽和しているツンデレヒロイン亜種も雑多なパロディネタも過剰な味付けに過ぎないのかもしれない。


作中ではロケットに関連にとどまらず、かなりいろいろなネタがちりばめられている。ロケット研究部員たちが崇拝する「王立宇宙軍 オネアミスの翼」はタイトルが出てきているから良いものの、

スペースデブリをひとつ増やすだけだ。半世紀後にユーリ・ミハイロコフの奥さんをぶっ殺すぐらいの役にしか立たない。

とかあって、プラネテスを知らない人にはユーリってどこのだれだかさっぱりだろう。
私はガンダムには疎いのでガンダムネタは断片的にしかわからなかったし、ほかにもスルーしたモジリやパロディネタはきっとたくさんある。

そんなわけで「ほうかごのロケッティア」は読む人を選ぶかもしれない。まあ、ガガガ文庫という時点で十分選ばれた人たちが手にするとは思うけど。


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ロケットガール

2007年03月04日 03:45

軽くて小さい女の子が宇宙飛行士になれば、有人ロケットを打ち上げるコストが大幅に下がる。ひょんなことから宇宙飛行士になってしまった少女たちのSFコメディ。2月21日からWOWOWのノンスクランブル(無料放送)枠でアニメが放映開始された。


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高校の夏休み、南国の島国で行方不明になった父を探しに、ゆかりはソロモン諸島を訪れた。ソロモン諸島には日本が出資したロケット基地があり、日本人が多く働いている。ゆかりは基地に向かう途中、そこを逃げ出してきた宇宙飛行士に遭遇。追いかけてきた所長・那須田は、一緒にいたゆかりを見るなりアルバイトをしないかと持ちかけてきた。父の捜索を条件に、承諾したゆかりだったが、なんとそれは宇宙飛行士のアルバイトだった。

ソロモン宇宙協会存亡の鍵となったゆかりは、宇宙飛行士としての過酷な訓練に明け暮れる。人手不足のソロモン宇宙協会は、ゆかりがジャングル単独踏破訓練のさなかで出会った土着民族のシャーマン娘マツリも、サイズがゆかりと同じで健康体だという理由で宇宙飛行士として採用する。

果たして少女達の運命はいかに。



能天気だけど悪霊の存在を信じてるマツリ、人体実験好きな女医さつき、マッドサイエンティストの素子など個性的なキャラが登場し、コミカルでテンポのよいストーリーが展開される。だがその実、科学的な考証に手抜きはなく、また宇宙という一歩間違えれば死が隣り合わせの世界も誤魔化されることなく描かれている。

人類が挑む新たなフロンティア――宇宙。女子高生の活躍が未来を拓くなんて、画期的で華やかで感動的でポジティブで輝かしくて素晴らしいじゃないか。おまけに三巻ではなんと、月にまで行っちゃうというんだからこれはもうロマンでしょう。ドキドキハラハラの連続だけど全巻ハッピーエンドだし、満足度は高い。欲を言えば、17Gにしょっぱなから耐えた女、マツリの活躍がもっと見たかった。素子さんも一巻以外全然出番がなかったな。っていうかゆかりのお父さんの問題は、結局どうなったんだか(笑。




夢だけど、夢じゃない。

科学の力に希望を託し、未知なる世界に心を躍らせ、冷酷な極限環境に恐れを抱き、人類の未来に思いを馳せる。

胸がいっぱいになるなにかが「ロケットガール」には詰まっている。

だから私も、また人類が月に行く日を、夢見ていようと思う。

(と、かっこよくシメてみた)


関連:野尻抱介の作品の感想



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