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NOVEL21 少女の空間―text.RED:運命と時間と世間と己と戦う少女たち

2004年08月27日 00:00

NOVEL21 少女の空間 NOVEL21 少女の空間
デュアル文庫編集部 (2001/02)
徳間書店

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前回紹介した『少年の時間』の続編というか、対になる短編集。しかし、こっちのほうがSF純度が低い。六篇の短編中SFらしき作品は3.5作品。

小林泰三の「独裁者の掟」は完璧SF。小林泰三はこの間感想を書いた「ΑΩ」の作者だ。「ΑΩ」に比べ、凄惨な描写は少なめ(あくまでも少なめ)。てか、「ΑΩ」を読んでそういった感覚が麻痺しちゃったのかもしれない。人々の命運を背負い、心を凍らせて、目的を達するために手段を問わない総統。総統が自己と周りのものを犠牲にしてまで遂げたかった目的とは一体なんだったのだろうか…。二つの視点をオーバーラップさせる手法が見事。

青木和の「死人魚」は、微妙にSFなのかもしれない。でも、違うかもしれない。どちらかといえば、伝奇とかホラーの類だろうか。山登りに行った青年が迷い込んだ村。そこで出会った村八分にされた少女。少女が大切に育てている赤ん坊。排他的な村に、青年は影響を与えることができるのだろうか。

篠田真由美による「セラフィーナ」もSFじゃない。怪奇系ホラーとでも呼ばしてもらおうか。ミステリアスなアンティークショップの女主人の語る、高級娼婦の肖像画にまつわる話。SFじゃないけど、この話のラストは妖艶でいい感じ。

大塚英志が白倉由美ノベライズした「彼女の海岸線」。獣耳&シッポ付きの女の子と暮らした男の子の話。これは、いまいちわからなかった。ネコ耳とかネコ尻尾ならOKなんだが、キツネってのがね。残念ながら萌えませんでしたなぁ。

「アンドロイド殺し」は二階堂黎人のSF。タイトルからしてSFっぽさが匂ってくるね。これは、展開が二転三転…挙句に四転ぐらいする。ラストのほうは結構ひねっているんだろうが、ちとひねり方が読者の予想の範疇に入ってしまっているのが惜しい。ちなみに、この短編に登場する未来の道具・機械などの元ネタSFを探すのも一興かと。

最後の短編は梶尾真治の「朋恵の夢想時間(ユークロニー)」。まあ、タイムトラベルものだろう。何気なく取った行動の所為でその後の人生悔やみ続ける。そういった誰にでもあるだろう過去の思い出。しかし、過去とはけして取り返せないもの…。過去に肉体を送り込むタイムトラベルは、エネルギーを使いすぎる。ならば、精神だけなら…?過去は変えられるのか…?



ハイブリッド・エンターテイメントの名にふさわしく、あらゆるジャンルのものを、いろんな作者の作品のを読みたいときにオススメ。
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NOVEL21 少年の時間―text.BLUE:ゴールデンブラウンの日にはドラゴンを退治する

2004年08月17日 00:00

NOVEL21 少年の時間―text.BLUE NOVEL21 少年の時間―text.BLUE
デュアル文庫編集部 (2001/01)
徳間書店

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「少年」をキーワードに集められた六つの短編。この本は、厳密に言うとSFじゃない。ハイブリッドアンソロジーと言うらしい。ようは、今の作家たちによるジャンルを問わない短編集だ。それでもSFっぽい作品は結構含まれている。

収録されている作品とその作家は以下のとおり。

鉄仮面をめぐる論議(上遠野浩平)
夜を駆けるドギー(菅浩江)
蓼喰う虫(杉本蓮)
ぼくが彼女にしたこと(西沢保彦)
テロルの創世(平山夢明)
ゼリービーンズの日々(山田正紀)

まあ、「ぼくが彼女にしたこと」以外はSFと呼んでしまってもいいんじゃないだろうか。これはなんというか、アダルトちっくというかなんというか…。

「夜を駆けるドギー」は近い将来のネット上のコミュニケーションと、ペットロボット(AIBOみたいなもの)の問題点を提示する作品。某巨大掲示板風な会話などが、面白い。というかどことなくリアルで少し気味が悪いくらいだった。

「ゼリービーンズの日々」はなかなか好きだ。どこがどう好きなのかはうまく表現できないのだが。シオドア・スタージョンの「人間以上」をモチーフにしている。そう、どこかに障害を持っている人は、普通の人間以上の能力を代わりに得ているのかもしれないのだ。彼らは、三次元にとらわれないで現実を見ることができる。少年少女を厳しく取り締まる法律が施行される社会で、彼らは大人たちの悪意に立ち向かっていく。

上遠野浩平は「ブギーポップ」シリーズを書いている人だ。これまた不思議な能力を生まれついて持ってしまった男の叙事詩(?)である。彼に触れるものはすべて水晶化してしまう。この能力ゆえに、彼は孤独な兵器だった。

「蓼食う虫」は、すでにどこかで使われたテーマな気がする。人類が漂着した星は、人間の願ったものを具現化して与えてくれる…。

「テロルの創世」は人間の影として生きるクローン達の物語。オリジナルの人間のために生き、死んでゆく子供ら。人間とは何かを考えながら読むといいのかも(しれない気がする)。


全体として面白いが、やっぱり作品によって当たり外れがあると思う。



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